辻真理子通信第18号が完成
議員の政務活動のための費用は、政務活動費から支出できることになっています。そのために、一般会計予算の議会費の中に、「政務活動費」があがっています。これは、会派ごとに請求できることになっていて、私の会派名は「会派そよ風」ですが、「1人会派」としての届出をしていますので、請求する権利はあります。
しかし、その使途は当然に限定されますし、議員活動の広報の手段である会報作成においても、その内容について議会事務局のチェックが入るため、政務活動費そのものの請求をしていません。そもそもは、全国各地で政務活動費に関する不正受給が相次いだことから、請求していませんし、書きたいことを自由に書くことができないことも理由の一つです。
というわけで、今回の会報第18号についても、市民の皆さんの税金から頂戴している議員報酬の中で支出しています。
今回は、第17号で好評でした「Q&A」方式で、現在の彦根市の借金を中心として書きました。
このブログでも日々皆さまにお知らせをしていますが、手に取ってご覧いただくために発行しているところです。
彦根市には、時折、ハコモノの好きな市長が登場します。その一人が平成5年に就任された市長でした。1997年に建設された「ひこね市文化プラザ」や、2002年に建設された「彦根市立病院」があげられます。もちろん、建設されたからには有効活用されなければなりませんが、今や文化プラザは貸館としての利用が主流で、一時期、ひこね文化デザインフォーラムが指定管理業務を担っていた頃とは大きく異なり、市民向けの「歴史講座」などは姿を消してしまっています。
本来ならば、市長は「彦根城世界遺産登録」を推進するのであれば、市民が彦根市の歴史を学習する機会を拡充し、「市民からの盛り上がり」がなければなりません。しかし、そのようにしようとする意欲も気概も感じられません。
NHK大河ドラマの「女城主 直虎」のときでも、大河ドラマのPRのためだけの表面的な宣伝媒体としてのイベントを行っただけで、息の長い学習機会を続けようとすることはありませんでした。
このことは、「世界遺産登録」をすることだけが「目的」であって、「市民の知的好奇心や学習意欲の向上による『まちへの想い』の醸成」という、本来、市長が旗を振って進むべき役割を放棄しているのではないかと思うのです。
山口県萩市では、「松陰先生のことば」という小冊子を作成して、特に城下町にある明倫小学校(藩校「明倫館」の流れを汲む)では小学1年生から朗唱の時間を設けて学習しているからこそ、郷土の誇りとして吉田松陰を「松陰先生」と誇りに思っているのです。
ちなみに、小学1年生1学期では、「今日よりぞ/幼心を打ち捨てて/人と成りにし/道を踏めかし」を習います。(この小冊子は、「萩ものがたり」から出版されています。http://www.shiseikan.ac.jp/hagi-story/hagistory-backnumber#05)
時代を同じくする井伊直弼公は、立場の違いこそあれ、国を思う心が150年以上の時を超えても、彦根市民の中に伝わってもよいはずです。
さて、話が逸れてしまいましたが、大きな建物を作った彦根市の財政状況は、その後、どうなったのでしょう。当然に、多くの市債を発行して、実質公債費比率が上昇しました(「市債残高」のグラフをご覧下さい)。それを立て直そうとしたのは、次の市長に就任した獅山元市長でした。棒グラフが急激に低くなっています。着実に借金を減少させたのです。
ところが、棒グラフの一番右の令和2年度末見込の額は、ついに500億円を突破し、514.2億円にも達する見込みです。「Q&A」の最初にあるとおり、8年間で190億円も増加したのです。
しかも、大久保市長は今後も新市民体育センターや新図書館、新ごみ処理施設といった大規模投資を続けようとしています。
本庁舎の工事で34億円と見込まれた工事費が68億円にもなった実績がありますから、体育センターなどの工事費が予定の金額よりも増えることになるでしょうし、既にその兆候は現れています。
そして、市の財政状況を見通すための重要な指標である中期財政計画には、図書館や新ごみ処理施設の金額などが、「具体的な金額が明らかでないから」と、書き込まれていません。なんと、ご都合主義な財政計画なのでしょう。それはある意味、金額を示してしまえば、現実に書き加える段階において、「過去の中期財政計画」との整合性を問われる可能性があるからだと邪推しています。
さて、市長候補がほぼ確定した現時点において、2人の候補者は「財政問題」を取り上げていますが、現市長の現状認識は報道されていません。議会答弁では漸く「財政が厳しい」という言葉がありましたが、それ以上に踏み込んだ発言はありません。
このような現状をしっていただき、有権者の皆さんが将来の彦根市雅号なるであるかと言うことを想像していただきたいと思います。