病院同士の比較なんてできないと思うのですが、先日、雨の中を市外の公立病院の受付の状況などを見学してきました。
「その病院は、いつもたくさんの患者さんで混み合っていて、忙しそうだ。」「とても親切な職員がいて、気持ちの上でもいたわってもらっているように思える。」などのご意見をお聞きします。
確かに、1階のフロアには人が溢れていました。しかし、その病院は患者さんの多い診療科がほとんど1階にあることが分かりました。つまり、来院されている外来患者さんはほとんどが1階だけで用を済ませられるということです。だから、多くの患者さんが来ているように見えるのではないかと思うのです。
いくつかの見習うべき点は見つけることができました。その病院では他の公立病院と同じように会計(精算)はすべて機械で行っていて、その周囲に案内の職員が配置されているようでした。高齢者が多いのはどこの病院でも同じですから、あながち「すべての会計処理を機械化することが高齢者に優しくない」というわけではないのでしょう。さて、どちらがよいのかは判断に迷うところですが、他の病院の方法を比較検討することも必要なのではないでしょうか。
人というものは、他人の話をそのまま受け取ってしまう傾向にあるのですが、数字の上での真実や、なぜそう見えるのかという現場での印象で受け止めるべき事実を確認する必要があると思います。
もちろん、その病院でも「紹介状が必要」な診療科もあります。
「選定医療費」という言葉をご存知ですか。大きな病院というのは、基本的に急性期病院という位置づけであるわけで、限られた医療資源である診療所(開業医)と病院というもののある意味での棲み分けをしていますので、最初から病院で診察を受けようとすれば、「選定医療費」の負担が必要になるわけです。病院のHPで「選定医療費」について書いてあるところは少ないのですが、近江八幡市立総合医療センターでは2,100円を受け取ると書いてあります。基本的には「かかりつけ医」の紹介があって病院での診察に移ることになります。
医薬分業も最初は手間なことだと思われていましたが、今や診察・治療は病院・診療所で、薬を受け取るのは薬局でという分業が確立いたしました。
同じように初診は「かかりつけ医」でお願いし、そこから高度な器材などが必要な、あるいは入院・手術などが必要な場合には「病院」でという流れは加速するでしょうし、患者さんみその趣旨を理解し、「かかりつけ医」を持つことから始めるべきだと思います。
病院が最初から診てくれないのは優しくないのだというのは間違いです。「かかりつけ医」を持っておいて、そこから総合病院での治療・手術に移行するという本来望まれる形での受診システムが構築され、病院が高度な治療などに常に適応できるように心がけたいものです。