介護福祉士試験の見直しから
平成27年から改革をする予定であった現在の計画はすでに3年間先延ばしにされていましたが、更に1年先延ばしになるとのことです。
介護福祉士をはじめとして、介護職の充実は喫緊の課題です。よく政治の世界では「喫緊の課題」という言葉が使われます。何をもって「喫緊の課題」というのかといえば、巷で言われている「2025年の壁」です。
2025年になれば、団塊の世代が全員75歳以上となることを指しています。医療においても介護においても、それらを必要とする人たちが急激に増えることを意味しています。
しかし、日本の人口構成は以前と違って大きく変化しています。つまり、全体として人口減少社会に突入するといっているわけで、そうなることの理由には出生数の減少があるからに他なりません。高齢者の人口は増え続けるわけですから、出生数においては相当数の減少であるという根拠がなければこのような推計は出てこないはずです。
そうであれば、労働人口は今以上に減少するわけで、たとえ定年を遅らせたとしても、アクティブな労働人口は減少し続けるわけですから、より一層、医療や介護を充実するとは言っても、そのことによって工業をはじめとする様々な分野への影響を否定することはできないでしょう。
そして、2025年から先を見つめた場合、いつの段階でかは高齢者に対応していた人たちの余剰が生じてくることも予測しておかなければならないと思います。
介護福祉士の数量的な増加は当面致し方ないとしても、それに並行して待遇の改善をしていかなければならないことも事実でしょう。福祉に対するしっかりとした将来展望の中で、改革していただきたいと切に願うものです。
厚生労働省の不明な部分としては、総合病院を急性期医療の拠点とする方針を打ち出し、回復期や慢性期の患者さんにとってはこれらの時期に対応することが困難になってきた事実がありました。しかし、平成26年度からは総合病院を急性期医療だけに特化するのではなく、回復期や慢性期にも対応できるように、と診療報酬を改定することになりました。
かつて「農政」が猫の目のように変わると批判されましたが、医療分野においても同じことが起きようとしているのです。場当たり的に対応しかできないのであれば、いっそのこと個々の病院に対応を委ねることのほうがよいのではないかと思えるほどの変化です。
厚生労働省をはじめとした霞ヶ関の官僚の皆さん。霞ヶ関の机の前で施策を考えるのではなく、全国津々浦々の現場をしっかりと見つめ、それぞれの地域の実情を自分の目で見て、その違いを踏まえた上で、深く検討を重ね、社会全体のニーズと将来予測をし、政策を考えていただきたいと強く願います。