奈良公園は1998年に世界文化遺産に登録された「古都奈良の文化財」のバッファゾーンです。
「バッファゾーン」という言葉は、彦根市民の皆さんの中にはご存知の方も多いでしょう。登録主体周辺の地域を指し、「バッファゾーン」があることによって登録主体が指定されたとも言えます。
彦根城においても、どれだけのエリアをバッファゾーンとするのかについて議論されたことがあります。
さて、その奈良公園は市街化調整区域に指定され、奈良市風致地区条例によって第一種風致地区にも指定されています。
町の真ん中に「市街化調整区域」というのも変な話ですが、古都・奈良という環境を保持するために市街化調整区域になっているのでしょう。
一般企業がここにホテルを建てたいと相談に行けば、即座に「ダメ」の一言で却下されるでしょう。なぜなら「市街化調整区域」であり、「第一種風致地区」だからです。
そのような場所に、観光客誘致のために奈良県がホテルを建設しようと、プロポーザル方式による事業者公募をしています。
これに対して、「奈良公園の環境を守る会」が反対署名を始めました。呼びかけ人には夢枕獏や椎名誠などの著名人も名を連ねています。
さて、同じようなことが彦根市でも起こっています。新市民体育センターです。
建設予定地は南彦根駅周辺で、現在の燦ぱれすの場所です。ここは第一種住居地域で、観客席のある施設を建設することができません。このことをはじめとして、12月定例会でS議員がもろもろ質問をいたしました。そして、答弁の中で、先の奈良市と同じように「現状では(観覧席のある施設を)建設できない場所」であることを認識している旨の答弁がありました。
私は用途地域問題とは別に、小学校の東隣に高層建物が想定できる構想に基づいて質問をいたしました。どれだけの高さの建物になるかすら示されていない段階ですから、ぼんやりとした聞き方しかできませんでした。しかし、この地域において観客席のある建物を建てられないとは想定していませんでした(いずれかの議会の提案書に書いてあったのかも知れませんが...)。行政性善説に立って、まさか「建てられない場所に建てる」という提案はしないだろうというのが前提です。
このことを含めて、この新市民体育センター関連の予算執行を止めるべく住民監査請求が提出されたと報道されました。地元紙にはまだ詳細な記事が書かれていませんので、詳しくはその記事を元に書きたいと思います。
このような問題はすべて首長が決断して行うものですから、その責任は首長にあります。今後、議会での答弁は、最高責任者である首長が行うべきものであるのではないでしょうか。